独身SEのすべて

システム開発の実態とか趣味とかITとかマンションポエムとか。

CIAが作ったスパイマニュアル「会社をダメにする11の行動様式」が日本企業そのものな件

f:id:arata32:20151127221503j:plain

CIAの前身となった組織が作った、会社をダメにするためのマニュアルが話題になっています。

「会社をダメにする行動様式って?」

chikawatanabe.com

元記事を超ざっくり紹介すると、「会社をダメにする11の行動様式」を紹介したうえで、「日本に限らず大企業は多かれ少なかれこんなもん」だけど、「昔の日本企業はこの様式に当てはまらなかった」という論旨です。
ですが、まとめサイト等では、「紹介されている11の行動様式がまさしく日本企業そのものだ」と盛り上がっているようです。
日々の仕事でこんな場面に遭遇して辟易した経験は誰しもありそうです。元記事の内容のうち、気になったものを紹介します。

これがなければもっと早く帰れるのに…となる5選

  • 文書は細かな言葉尻にこだわる
  • 重要でないものの完璧な仕上がりにこだわる
  • 重要な業務があっても会議を実施する
  • なるべくペーパーワークを増やす
  • 全ての規則を厳格に適用する

組織に属して仕事をしていると、なんでこんなことしなきゃいけないんだろう…と思っちゃうような作業って多いですよね。
無能な上司ほど、「言葉尻」を重視した「重要でない書類」を「大量」に用意してくれます。
エンジニアの中にもこういう方は結構いらっしゃって、技術に取り残されたお飾り管理職の方がよくやりがちな事です。
大手のSIerさんから「上司への報告のために作ってくんない?」って言われるような資料は概ねこんな感じになりがちです。なぜなら上司の方が理解できるのは、資料の内容ではなく日本語だけだから…

早く決めてくれよ…と嘆きたくなる6選

  • 何事も指揮命令系統を厳格に守る。意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない
  • 可能な限り案件は委員会で検討。委員会はなるべく大きくすることとする。最低でも5人以上
  • 業務の承認手続きをなるべく複雑にする。一人で承認できる事項でも3人の承認を必須にする
  • 前回の会議で決まったことを蒸し返して再討議を促す
  • 会社内での組織的位置付けにこだわる。これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より上層部の決断を仰がなくてよいのか、といった疑問点を常に指摘する
  • 「注意深さ」を促す。スピーディーに物事を進めると先々問題が発生するので賢明な判断をすべき、と「道理をわきまえた人」の振りをする

仕様変更や進捗遅れなど、エンジニアさんを取り巻く環境は刻一刻と変化します。
早く手を打たないと手遅れになってしまうような状況でも、元請け、顧客、自社、様々なステイクホルダーが意思決定を邪魔します。
もちろん、権限やら責任範囲やらが重要なことは重々承知しています。でもこの瞬間に手を打たなければいけないのです。現場のリーダークラスはやきもきします。
提案当初は最善策だったものでも、実行までの時間とともにタイミングを逃し、悪手になってしまうことが多々あります。そしてしわ寄せが来る現場の面々はあきらめ顔で今日も残業をこなします。

なぜ組織がこうなってしまうのか

スタートアップ直後のベンチャー企業でもない限り、組織が5年、10年続くと概ねこうなってしまいます。社員30人にも満たない零細企業でも、「会社側」を自称するおじさん数名があーだこーだ言って引っ掻き回し、結果時間だけが無為に過ぎていくことがよくあります。
前述の無意味な資料とかもそうだと思うのですが、みんな意外と「仕事がしたい」と思っているんじゃないかと思うのです。
大企業の上役でも、長老お荷物社員でもいいですが、「仕事がしたい」けど「目に見える何かを生み出せない」というジレンマを抱え、「何か自分でもできる仕事」を求めて部下に指示を出している人も多いかもしれません。
それを自己顕示欲と呼ぶのか自己承認欲求と呼ぶのか、満足感の創造なのかはわかりませんが、我々が日々こなす作業の何割かは、こういった「誰かのための仕事」を作り出すことになっている気がします。
組織の新陳代謝が困難な大企業や役所なんかは、特にこういった傾向が強いので、みんな共感するのかもしれませんね。