法律で義務化されるストレスチェックについてまとめてみた
2015年1月から、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が施工されます。具体的に何がどうなるのかよくわかんないので、ちょっと調べてみました。
ストレスチェック制度の概要
実際の奨励は、厚生労働省のHPからPDFファイルをダウンロードできます。
読んでみましたが、何書いてあるのか全く分かりません。厚生労働省が出した説明会資料には次のように定義されています。
ストレスチェックの実施、その結果に基づく医師による面接指導、面接指導結果に基づく就業上の措置、ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析など、労働安全衛生法第66条の10に係る事業場における一連の取組全体をいう。
ざっくり言うと、従業員のストレスを定量的にチェックし、対策を施した上で所轄労働基準監督署長に報告書を提出せよというもののようです。
前述のPDFリンクに報告書の様式が添付されていますが、産業医、事業場専属の医師、外部の医師が検査、面接、分析したことを記述する欄があるので、会社のおっさんがうぇーいって済ませて良いものではないんでしょうね。
法令の対象になるのは?
常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出 しなければならない。
とあります。社員が50人を超えない場合はやらなくてもいいかというと、「努力義務」は課せられるようなので、中小・零細企業を営む人も無視できる問題ではないようです。
具体的なチェック内容は?
厚生労働省作った簡易チェック表(wordファイル)がダウンロードできます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/150803-1.doc
簡易といいつつ、項目数は57項目に及びます。
wordファイルなんて見るのめんどくさいと思うので、チェック内容を転記しておきます。全部の項目がそうですが、ある・ないのどちらでストレスが強いと判断されるのかは項目別に異なります。
A あなたの仕事についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けてください。
※「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」で回答
- 非常にたくさんの仕事をしなければならない
- 時間内に仕事が処理しきれない
- 一生懸命働かなければならない
- かなり注意を集中する必要がある
- 高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ
- 勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない
- からだを大変よく使う仕事だ
- 自分のペースで仕事ができる
- 自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
- 職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
- 自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない
- 私の部署内で意見のくい違いがある
- 私の部署と他の部署とはうまが合わない
- 私の職場の雰囲気は友好的である
- 私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気など)はよくない
- 仕事の内容は自分にあっている
- 働きがいのある仕事だ
B 最近1 か月間のあなたの状態についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けてください。
※「ほとんどなかった」「ときどきあった」「しばしばあった」「ほとんどいつもあった」で回答
- 活気がわいてくる
- 元気がいっぱいだ
- 生き生きする
- 怒りを感じる
- 内心腹立たしい
- イライラしている
- ひどく疲れた
- へとへとだ
- だるい
- 気がはりつめている
- 不安だ
- 落着かない
- ゆううつだ
- 何をするのも面倒だ
- 物事に集中できない
- 気分が晴れない
- 仕事が手につかない
- 悲しいと感じる
- めまいがする
- 体のふしぶしが痛む
- 頭が重かったり頭痛がする
- 首筋や肩がこる
- 腰が痛い
- 目が疲れる
- 動悸や息切れがする
- 胃腸の具合が悪い
- 食欲がない
- 便秘や下痢をする
- よく眠れない
C あなたの周りの方々についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けてください。
※「上司」「職場の同僚」「配偶者、家族、友人等」に対し、「非常に」「かなり」「多少」「全くない」で回答
- 次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?
- あなたが困った時、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?
- あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらいきいてくれますか?
D 満足度について
※「満足」「まあ満足」「やや不満足」「不満足」で回答
- 仕事に満足だ
- 家庭生活に満足だ
ストレスチェックで労働環境は良くなるか
チェック項目をごらんのとおり、大変陳腐なチェック項目が並んでいます。専門家の面接などを経て実態があぶりだされることもあるのでしょうが、同じ事業所に勤めている人が、同じ労働環境に対して同じストレスを抱える訳でもありませんし、会社側が負担するコストもそれなりです。ハリボテで終わる予感がプンプンしますね。
「ブラック企業」という言葉が誕生し、名前だけが先行するようになったころから、こんな法律ができてしまうのは必然だったのかもしれません。ブラック企業という言葉が生まれ、マスに認識されてしまった今、国としても放置はできないということなのでしょう。
このチェック表でストレスを感じていることが分かるような状態であれば、こんなチェック受ける前に、退職を切り札としたアクションを起こし始めるべきなのかもしれませんね。